金沢へ

先日は講習会の仕事で石川県の金沢市に1泊2日の日程で行ってきました。


金沢を訪れるのは3回目ですが、いずれも仕事だったので今までゆっくりと観光する機会がありませんでした。しかし、今回は空き時間があり市内を少し観光できたので、その様子を。


ここ愛知県から金沢へは、名古屋~金沢を走る特急しらさぎで3時間。地図を広げれば近そうに見えますが、鉄道、車でも3時間はかかるという、近くて遠い金沢です。


逆に東京~金沢は地図では遠いのですが、北陸新幹線の開通により、たった2時間半。遠そうで以外と近い金沢だったりします。愛知県民からすればちょっとズルいような感じ。(笑)


そんな金沢の玄関口と言えばJR金沢駅。近年は複合ビルも隣接して大きくなり、国内外から多くの観光客を迎え入れています。


その金沢駅前には金沢の伝統芸能、加賀宝生の鼓をイメージして建てられた有名な「鼓門」が出迎えてくれます。

この日は週末ということもあり、外国の観光客も多く見受けられ、鼓門をカメラにおさめる姿が絶えませんでした。そんな中、おひとり様の僕はひとりで自撮りする勇気もなく(笑)、とりあえず門だけパシャリ。



さて、金沢の主な観光スポットは金沢城や兼六園周辺に点在していますが、徒歩でも十分回れる距離。城下町だけあって道も広く、わかりやすいので、地図を片手に歩いて散策できます。(金沢観光協会マップより)


この日は日頃の運動不足解消を兼ねて金沢駅から徒歩で出発。駅から歩くこと約20分、最初の目的地、「尾山神社」へ到着しました。

加賀藩、前田利家と妻お松を祀る尾山神社。有名なのは国の指定重要文化財になっている神門です。石階段の上に構えるこの門は、ごらんのように3層から成り、第3層目には4面5彩のギヤマン張りが施してあり、和漢洋が混在する極めて珍しい門となっており、兼六園と並ぶ金沢の観光スポットです。


その神門の奥に建つ拝殿で、今回の金沢での仕事が無事にできることを祈願して参拝しました。


参拝したあとは拝殿のそばにある、一昨年に完成したばかりという新しい授与所に寄ってみました。全面ガラス張りのモダンな建物で、中で取り扱う御札やお守りのディスプレイもセンスがあり、神社としては新鮮な感覚です。古き中にも時代ごとの新しい感覚が混在している尾山神社、おすすめです。



次に尾山神社から5分ほど歩いたところにあるのが、「石川四高記念文化交流館」です。

明治24年、旧第四高等中学校本館として建てられた赤レンガ造りの建物は国の指定重要文化財となっており、現在は学校の歴史を伝える展示のほか、石川県の近代文学者の資料が展示してあります。


また、近年では複合文化スペースとして市民も利用できる交流館が併設され、公園の緑に囲まれた赤レンガの歴史的建物は、市民が気軽に行きかう開かれた場所でもありました。


このような重要文化財が単に資料館としてだけでなく、今もなお現役で市民に使われているところに、歴史ある金沢ゆえのの奥深さを感じます。


その石川四高記念文化交流館から歩いて数分のところにあるのが、ご存じ「金沢21世紀美術館」です。

それまで美術館と言えば、外の光を遮る箱型の閉ざされた空間で作品を見る、というのが一般的でした。しかし2004年に建築家、妹島和世と西沢立衛からなる日本人ユニットSANAA(サナア)が手掛けたこの金沢21世紀美術館は、その固定観念を根底から覆す、明るく、開かれた、世界的に見ても前例のない開放的な美術館でした。

公園の芝生の上に建つこの美術館は、建物全体が円形の平屋、外壁が一切なく360°全面ガラス張りとなっているスケルトン構造。ごらんのようにガラスを隔て中と外との境界が曖昧な印象になっています。


また、東西南北に4ヶ所の入り口がありますが、どの入り口が正面玄関か明確にされておらず、どこららも気兼ねなく出入りできる動線にもなっています。


そして、館内は有料の作品展示だけでなく、無料で見られる展示エリアのほか、カフェ、レストラン、アートライブラリー、ラウンジなどが併設されていて、有料展示を見なくても、気軽に立ち寄って思い思いの時間を過ごすことができるように設計されています。

作品を見るつもりはなくても、休みの日にふらっと訪れてカフェを利用したり、静かに読書に浸ったり、ぼんやりと外の風景を眺めたりと、まるで市民の憩いの場のような、ここが美術館だということをつい忘れてしまうほど開放的な空間です。

この日は週末とあって、ファミリーやカップル、観光客、そして建築を専攻する学生が見学に訪れるなど、とても賑わっていました。僕も時間が許す限り作品をみてまわりましたが、その様子は次回のブログにでも。


さて、金沢21世紀美術館から歩くこと数分先にあるのが、「鈴木大拙館」です。

1870年(明治3年)金沢生まれの世界的仏教哲学者、鈴木大拙。若くして英語が堪能だった鈴木大拙はアメリカに渡り、コロラド大学では客員教授を務めたり、英文で禅の著書を出すなどして世界に禅の思想を広めたました。


その鈴木大拙に関わる資料が展示してあるほか、来館者が禅の思想に触れることができるのがこの鈴木大拙館です。


館の設計は建築家、谷口吉生。無駄な装飾は一切排除したような「無」の印象を受ける建物は、随所に禅の思想と重なる意匠になっており、来館者の心までも無の心境になるかのようです。


まず、エントランスから展示棟へと続く「内部回廊」。暗く閉鎖的な廊下の先に差し込む光に誘われるように進むと、その先には鈴木大拙の生い立ちや世界中で思想を広めた痕跡を紹介する資料が展示してあります。

明治、大正、昭和と日本にとって激動だった時代に、哲学者として世界中に禅の思想を説いた鈴木大拙。その飽くなき探求心と行動力は当時の混沌とした時代背景を思えば計り知れません。


その展示棟を出ると、目の前には一面に水が張られた「水鏡の庭」が現れます。


静まり返った水面には、まわりの風景が鏡のように映り込み、しかし時折り吹く風にそれが消される様子は、まるで水のスクリーンを見ているかのよう。

この水辺に立って眺めているだけで、自分の心が不思議と無の状態になっていることに気づきます。

その水鏡の庭に建っているのが「思想空間」。中に入ると暗く、間口からは切り取られたかのような外の風景を静かに眺めることができます。

外からの音を一切遮断し、静かに暗室から見る景色は、風に揺れる水面と木々のみ。


風が強いとそれらは激しく揺れ、風が無ければ静寂に。


そんな当たり前のことが、この景色を見ているとまるで自分の心に諭しているかのような気持ちになってきます。


アップル社創業のスティーブ・ジョブズ氏を始め、世界の著名人たちも慕う禅の思想。金沢の地でその体験をするのもいいかもしれません。場所は大通りから外れて閑静な住宅地の中。街中の喧騒を離れて静かに訪れてみてはいかがでしょうか。


さて、鈴木大拙館を後にして、金沢城公園と兼六園の間を通るお堀通りを抜けて向かった先は「ひがし茶屋街」。

昔ながらの格子の古い建物に石畳と風情があるこのエリアは、江戸時代の建物が残る国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。


そして、今ではその古い建物を利用してお洒落なカフェやショップなどが並び、若い女性を中心に金沢屈指の観光スポットになっています。

歴史的価値がある建物にセンス溢れる新しい感覚の空間が広がる光景は金沢ならでは。若い女性の観光客が着物姿でこの界隈を歩く姿も含め、まさに新旧の文化が交わった魅力あるエリアと言えるでしょう。


食事にショッピングにお土産にと楽しめるひがし茶屋街、別所のにし茶屋街とも合わせて要チェックです。


こんな感じで仕事の空き時間に早足で回った金沢観光ですが、最後は金沢の台所と言える近江町市場で食事をしました。


頂いたのは今が旬でオススメになっていた鯵のお刺身。程よく脂がのったぷりぷりの切り身はまさにこの時期ならでは。贅沢な一品です。

つづいて、これもオススメのメニューになっていたサザエの炭火焼き。コリコリした感触にわずかな苦みと旨みが相まって最高の味でした。

そして、若鮎の塩焼き。姿は小さくともこれから迎える夏を感じる美味しいお味でした。


ということで、ざっくりと紹介してきましたが、歴史に文化に食にと魅力一杯の金沢。まだまだ紹介しきれないほどの観光スポットがたくさんありますので、くわしくは金沢観光協会公式HPを。


春夏秋冬、四季折々の景色を楽しめる金沢。北陸の旅に絶対オススメです。